いきなりですが、質問です。
「暗い場所で写真を撮る時ってどうしますか?」
おそらく、多くの方が「フラッシュを使う!」とお答えになると思いますが、
実は「暗いからフラッシュを使う」というのは、考え方としては正しくありません。
というのは、フラッシュの光が届く距離は結構短く、一般的なデジカメに付いているフラッシュだと、だいたい3m前後ぐらいまでしか効力がないからです。
3mというと、室内での撮影や記念写真とかの撮影でカメラの前に並んでいる人を撮るには十分な距離ですが、暗所での風景やスタジアムなどで遠くにいる人を撮るには全く距離が足りません。
つまり、場所や状況によってはフラッシュを使っても全く意味がないので、
「暗い場所での撮影 → フラッシュの利用」とは、一概には言えないのです。
では、暗所での撮影はどうすればいいのか。
答えは「ISO感度を上げて撮る」となります。
ISO感度というのは「デジカメのセンサーが感じ取れる光の強さ」を調節するもの。
言い換えると「デジカメのセンサーが光に対してどれくらい敏感か」を調節するものです。
※ フィルムカメラの場合は「そのフィルムが光に対してどれくらい敏感か」を示します。
今回のコラムでは、デジカメのISO感度について説明します。
ISO感度を上げると、それに応じてセンサーが光に対して敏感になるので、
光が少ない暗所でも普通に撮影することが可能になります。
ただし、ISO感度を上げすぎると「ノイズが発生して画質が悪くなる」という副作用もあります。 これは、センサーが敏感になりすぎて余計なモノ ( センサーの熱とか ) までも捕らえてしまうことで起こる現象です。
これを回避する方法は… 残念ながらありません。
ISO感度を上げて敏感になったセンサーは、どうしても余計なモノまで捕らえてしまいます。
もちろん、センサーの感度を上げるのではなく、
光を取り込む時間を長くするという方法 ( ISO感度を低く設定して三脚を立て、シャッタースピードを遅くして撮影する等 ) であれば、上記のようなノイズは押さえることができます。
ただ、この場合は、動く被写体を撮ると被写体ブレが生じてしまいます。
よって一般的には、暗所での撮影は、
「画質が悪くなるのを覚悟の上でISO感度を上げて撮る」
というのが、一番堅い方法ということになります。
なお、このISO感度。
最近のデジタルカメラだと、たいていの場合「自動設定」してくれるモードがついているので、撮る側が特に意識しなくても、カメラ側が勝手に調節してくれるようになっています。
なので、みなさんが暗所で撮影する際に留意することとしては、
「暗所で撮影する場合、写したいモノが3m以内にない場合はフラッシュは無駄!」
というくらいの感じでOKです。
意味なくフラッシュを使っても、電池がもったいないだけですからね。( 笑 )
■ 追伸 ■
写したいモノが3m以内にある場合でも、
フラッシュはオフにした方が自然な感じの写真になります。
高性能な外部フラッシュとかだと、発光部の向きを色々変えることができるので、比較的自然な感じに光を操ることができますが、 カメラ付属のフラッシュは真正面発光のみなので、どうしても「前にあるモノは明るく、後ろは暗い」という感じになってしまうのです。
ちなみに、これを逆の発想で考えると、逆光の場合はフラッシュを使うと良い感じに撮れるというのが想像つきますね。 逆光=後ろに強い光がある場合、手前のモノは影になって暗くなっていますから、前面から光をあてて前のモノを明るくすれば後ろの明るさとのバランスが取れるというわけです。